ラヴニカのギルド スタンダード調整録 前編

先日プロツアーラヴニカのギルドに参加する友人がデッキをサブミットした

それまで本当に紆余曲折あったのだが、とにかく納得できるものができたので良かったと思う

これを書く許可は得ていないがまあ何割かは僕が作ったようなものなので合作みたいなものだしもう終わったことだから別にとやかく言われることもないだろう(適当)

プロツアーの結果が出る前にスタンダードのデッキを作るというのは初めての作業だったので記録としても残しておきたいのだ

 

ラヴニカのギルド発売前からの記憶を辿りつつ、僕のメモ帳に残された愛しい残骸たちを掘り返しながら振り返っていきたい

 

 

 

まずデッキを作る前に僕らが決めていた約束事が一つだけある

それは”コントロールデッキを持ち込まない”という事だ

例えスタンダード環境においてコントロールデッキがブッチギリのtier1だったとしても、だ

どれだけ一強状態であってもプロツアーには持ち込まない事を前もって決めていた

理由は簡単

上手い人に勝てないからだ

どう高く見積もっても出場選手の中での実力は下から数えた方が早い

我々は弱者だ

お互いコントロールデッキを使って勝てる道理がない

そんな訳で僕らはコントロールデッキという選択肢を最初から排除したのである

 

 

 

 

 

 

 

ラヴニカのギルドのプレビューで最も僕の興味を引いたのは神聖な訪問だった

自分の場にクリーチャートークンが生成される場合、代わりに4/4飛行、警戒の天使が出る という5マナのエンチャントだ

前環境を支配していた絶対的なフィニッシャー、スカラベの神が去った今そういった悠長なデッキが許されると踏んだのだ

基本的には出たターンには何もしないとは言え貼ってからのバリューは最強クラス

ギリギリ許せなくもない5マナというコストもあいまって使えると読んだ

相棒は秘宝探求者、ヴラスカ

神聖な訪問を貼った次のターンから4/4天使を量産できる

神聖な訪問がない場合の単体のパワーも申し分無い

結果できたのがこれだ

 

 

アブザントーク

土地25
寺院の庭4
くさむした墓4
要花弁の木立4
孤立した礼拝堂3
森林の墓地1
沼1
森2
平地4
セレズニアのギルド門1
名誉の記念像1


クリーチャー
ノワールのエルフ4
茨の副官4
管区の案内人2
秋の騎士4
シャライ3
ロスターニ2
19


インスタント
暗殺者の戦利品4
大集団の行進2
6

エンチャント
べナリア史3
議事会の裁き1
神聖な訪問2
軍団の上陸1
7

プレインズウォーカー
秘宝探求者ヴラスカ3


サイドボード
ビビアンリード2
ゴルガリの女王、ヴラスカ2
強迫4
残骸の漂着2
希望の夜明け2
ライラ2
悔恨する僧侶1

 

クソ弱そう(確信)

神聖な訪問デッキとは一体……

2枚にまで削られてるし……

メインに秋の騎士4枚!?

色々言いたいことはあるが発売前に作ったやつなので許して欲しい

このデッキを回すことは無かった

理由は高かったから( 笑 )

こんな見るからに弱そうなデッキにつぎ込む金は無かったのである

 

次に我々が目を付けたのは正義の模範、オレリア

発表時点では予約価格1400円とかだったのがジワジワと値段が上がりプレリの後には3000円になっていた

これをフィーチャーしたアグロを完成させられれば勝てる

結果できたのがこれだ

 

ロスメンター

ゴブリンの旗持ち4
鈍色翼の隼4

ボロスの挑戦者4
サンホームの重鎮4
速太刀の擁護者2

民兵のラッパ手4
軍勢の戦親分4
軍勢の切先タージク2

正義の模範オレリア4

 

暴君への敵対者アジャニ2

 

完全+間隔3

 

聖なる鋳造所4
断崖の避難所4
平地8
山7


ライラ2
包囲攻撃の司令官2
悔恨する僧侶2
希望の夜明け4
神聖の発動2
残骸の漂着2
火による戦い1

ちょっと普通

(ラッパは入ってなかった気がする)

 

1マナのゴブリンはあまり強くなかったが鳥はまあまあ強かった

覚えてるのはそれくらい

プレリ当日くらいにこれを回してそこそこ勝ったような気がするけどあまり覚えていない

しかしこのデッキで我々はある事を発見する

オレリアとライラが並んだら勝つ

ということを発見した()

馬鹿みたいと思われるかもしれないが本当にこの2体の天使は理不尽でクリーチャーを使ったデッキを尽くなぎ倒した

もうこれ天使で殴ればよくね?

という結論が出たのは言うまでもない

そして弱い低マナ域を埋めるために緑を追加することを決める

そう、時代はナヤだ

 

ナヤミッドレンジ

茨の副官4
ボロスの挑戦者4

秋の騎士2
軍勢の戦親分4
タージク3

オレリア4
シャライ2
再燃するフェニックス2

ライラ3

 

裁きの一撃3
稲妻の一撃4

 

断崖の避難所3
根縛りの岩山4
聖なる鋳造所4
寺院の庭4
陽花弁の木立4
森1
山3
平地2

 

希望の夜明け2
イクサランの束縛2
溶岩コイル2
火による戦い2
秋の騎士1
戦場の詩人ファートリ1
ビビアンリード1
ウルザの殲滅波2
パラディアモルス1
魔術遠眼鏡1

オレリアシャライライラ相手は死ぬ

 

まだまだ荒削りだがデッキっぽくなってきた気がする

このデッキはとにかくクリーチャーのぶつかり合いに強く当時は大量にいた赤単を食いまくった(確か)

ただこのデッキが勝つ時はほぼオレリアとライラが強すぎて勝つだけだった

当たり前だがめちゃくちゃコントロールデッキに弱く、サイドのスパイグラスがせめてもの抵抗だった

 

 

ラヴニカのギルド発売後僕がリアルで作って回していたのが青黒諜報だ

細かい事は以前書いたので暇だったらそちらをどうぞ

青黒諜報 - 「mirage in august」を残し、タイムトラベルする。

 

青黒諜報

水没した地下墓地4
湿った墓4
島6
沼7
天才の記念像1
ディミーアのギルド門1
廃墟の地2

 

破滅を囁くもの4
夢喰い2
正気泥棒4

 

思考消去4
発見+発散4
渇望の時2
概念の雨2
煤の儀式2
悪意ある妨害4
ヴラスカの侮辱4
名声の対価1
呪文貫き1
アルゲールの断血1

 

死の重み1
渇望の時1
煤の儀式2
強迫3
否認1
薬術師の眼鏡1
軽蔑的な一撃2
血の刺客2
最古再誕2

このデッキは2tハンデスから3t正気泥棒をするだけの簡単なコンセプトのデッキだったが一定の成果を出した

正気泥棒はワンパンでゲームを破壊し、破滅を囁くものは流行っていたライラ擁するボロスエンジェルに対してサイズで優位に立てた

このデッキを更にアップデートしたのがこれだ

 

グリクシスミッドレンジ

破滅を囁くもの4
破滅の龍ニコルボーラス3
正気泥棒4
万面相ラザーヴ2

思考消去4
発見+発散4
悪意ある妨害4
煤の儀式2
ヴラスカの侮辱4
渇望の時2
喪心1
名声の対価1

湿った墓4
水没した地下墓地4
竜髑髏の山頂4
蒸気孔3
硫黄の滝1
島4
沼3
廃墟の地2


強迫3
軽蔑的な一撃2
否認1
最古再誕1
ラルザレック1
煤の儀式2
虚報活動2
菌類感染1
渇望の時2

 

青黒諜報は自分からプレッシャーをかける手段に乏しいこと、プレインズウォーカーが入っていないことが弱点だった

それを一挙に解消するニコルボーラスというマスターピースを追加した

ラザーヴは試しに入れてみると一気に惚れ込んでしまったカードの一つだ

前兆語りが中盤以降正気泥棒や破滅を囁くものに変身するというのはなかなかインパクトがあって使っていて楽しかった

自発的にプレッシャーをかけられるカードとプレインズウォーカーを手に入れ盤石かと思われたこのデッキ

しかし実際には思うように勝てなかった

何故なら当時MOではとあるデッキが流行っていたからだ

 

 

 

 

ゴルガリミッドレンジ

このデッキの存在が我々を常に悩ませ続けた

序盤は探検クリーチャーを繰り出し4t以降対処しなければならないパーマネントを続けて投入してくる

除去耐性のないクリーチャーにはチュパカブラ

飛行クリーチャーはビビアンが撃ち落とし、ヴラスカが更に叩き割ってくる

厄介なクリーチャーにはヴラスカの侮辱

更には最古再誕の布告除去まで

置物も全てのプレインズウォーカーが触ってくる

あらゆる除去を備えたこのデッキはパーマネントの存在を徹底的に否定してくる

カードパワーの塊のようなこのデッキは中途半端なデッキを環境から駆逐していった

 

ゴルガリに対して正面から挑んで勝てるデッキはない

これは誰の目にも明らかだった

グリクシスミッドレンジがゴルガリに勝てる唯一のパターンは2tハンデスから3t正気泥棒でハメ続ける事だけだった

マストカウンターを連打されて処理が追いつかず、結果ビビアン、ヴラスカ、最古再誕のどれかを撃ち漏らして殺されるのが常だった

結構な期間青黒ベースのデッキをテストしていたが遂に諦めることに

 

 

 

今では高騰してしまった対ゴルガリカードも結構な数この期間に試していた。と言うことだけはほんの少しの強がりのために書いておきたい

かなり早い段階で不滅の太陽入りのボロスエンジェルも試したし、トカートリの儀仗兵がまだ100円の頃にこいつをゴルガリに出せば勝てるという事にも気付いてはいた

”絶滅の星打ったらあいつら死ぬじゃんwww”という事も幾度と無く話してはいた

しかしレベルプロでもない素人2人がそれらのカードを入れてデッキを完成させられるかと言うと難しかった

キーカードに辿り着いてはいたのにそれを形にできなかった己の力不足を恥じるばかりである

(あの頃文句言いながら4チケで買ってた不滅の太陽をたくさん集めとけばMOでプチ富豪になれたのにな、残念だ)

 

 

ゴルガリに勝てない

しかも増え始めていたテフェリー入りのコントロールデッキもなんならキツイ

思い返せばこの頃が一番行き詰まっていたかもしれない

赤単の実験の狂乱デッキもこの時試した

ジェスカイジャンクも試した

しかし結果は思うようには出ず

とにかく何を使っても勝てない期間が続いたが、そんな時とあるデッキの噂を耳にする

 

 

青赤フェニックス

島6
山5
蒸気孔4
湿った墓2
硫黄の滝4
イゼットのギルド門1

 

孤光のフェニックス4
弾けるドレイク3
ゴブリンの電術師3
つぶやく神秘家1

 

ショック4
選択4
急進思想4

 

発見+発散4
航路の作成4
溶岩コイル4
標の稲妻2

アズカンタの探索1


パルン 二ヴ=ミゼット2
ラルザレック1
焦熱の連続砲撃3
呪文貫き1
軽蔑的な一撃2
否認2
つぶやく神秘家2
火想者の研究2

(リストの細部は怪しいです 雰囲気こんな感じ)

 

今ではTier1の一つと言って良いこのデッキ

当時はまだ眉唾物のローグデッキだった

しかしゴルガリに有利と聞き僕はすぐにリアルで組むことに決めた

神決定戦にも持ち込み確かな手応えを得た

”ゴルガリに勝てる”

これだけで僕らがこのデッキを使うのには十分すぎる理由だった

ここから僕らは青赤ベースのデッキのテストに腐心する事になる

 

 

しかしすぐに壁にぶち当たる事になる

青赤フェニックスはゴルガリには面白いように勝てるがとにかくテフェリー入りのコントロールに勝てなかった

もうこの頃になるとゴルガリが対策されすぎて減り始めていた

この時期に覚えてることはとにかくテフェリーが強かったこと

ジェスカイに限らずエスパーからもテフェリーが出てきて良いようにやられた

ゴルガリが減ってエンチャントの生存率が上がったためメインから封じ込めを打たれることも珍しくなくなっていた

エスパーが使ってくる最古再誕がとにかく厳しく、ハンデスから二ヴミゼットを落とされて釣られるというのが良くある負けパターンだった

何より青赤フェニックスの動きがネタバレし切っておりあらゆるデッキが対応し始めていた

この頃激増していた青黒諜報にもかなり不利で厳しい戦いを強いられた

何かを変えねばならない

そしてまた迷走が始まった

 

しかしコントロールを打ち倒すのは容易ではなかった

もう僕らに残された道は一つだった

この頃青赤フェニックスにとあるカードが流行り始めていたのも不思議ではない

これをやって勝てなかったらもう無理だと感じていた

そしてその馬鹿げたアイデアを実際に使った

パルン、二ヴ=ミゼットに”潜水”を打つ…

この小学生コンボはしかし理不尽に対戦相手を殺した

コントロールのみならずゴルガリやミラーに対してもダイブダウン二ヴミゼットは絶大なパワーを誇っていた

そして新たなデッキを開発した

 

 

メモ帳にデッキリストが残っていないので正確なリストは示せない

クリーチャーをドレイク2種8枚、二ヴミゼット2枚に絞り、除去とドローとイオン化と潜水と轟音のクラリオンを入れたジェスカイドレイクだ

このデッキは明確に強いデッキが多く、良いデッキだったと思う

ドレイク2種と轟音のクラリオンの相性が抜群に良くビートダウンに対してかなり耐性がある

本来青赤ベースのデッキは横並びに非常に弱い

サイドボードに2点オールが3枚取られていたりするのはそのためだ

しかし轟音のクラリオンを搭載することで横並びのビートダウンへの相性を逆転させることに成功した

コントロールに対してもダイブダウン二ヴミゼットを決めれば勝てる

時間もあまりなかったのでこのデッキに決めるか?というところまで行ったが結局ジェスカイドレイクはボツになった

対コントロールの相性があまり改善しなかったこと、特に青黒に対して全く勝てなかったこと

そして何よりこのデッキが抱える根本的な課題が足を引っ張った

 

当たり前といえば当たり前なのだが、このデッキはクロックが10枚しかない

そして全て3マナ以降と重めである

MOでよく当たるゴルガリ、青黒、ジェスカイコントロールに対してクロックを設置するターンがあまりにも貧弱で信用出来なかった

どのマッチも3tにドレイクぶっぱして通れば良いのだがそう上手くはいかない

ゴルガリは後手だと最悪の場合4マナヴラスカにマイナスから入られてマウントを取られてしまう

弾けるドレイクに関してはチュパカブラ、侮辱、ビビアン、最古再誕とあらゆる除去に引っかかるのでサイド後は減らす始末

青黒は2tハンデスから入られるだけでもう厳しい

ジェスカイは2tからリムソシンコペートを構えられてテフェリーGG

ビートダウンに対しては素晴らしいデッキだったがその他に対してはあまりにもお粗末だった

結局この”3tにクロックを設置する弱さ”を話し合った結果ボツになった 

 

 

 

さあもういい加減デッキを決めないと時間がない

しかしデッキ作成は暗礁に乗り上げてしまった

一体どうすれば……

 

グランプリリールの上位リスト洗い直すか……

ん?なんかこのデッキ強そうだな

使ってる人は……マキス・マツウォカスか……

このデッキ強そう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

« 次回予告»

”やめて!このデッキまで負けちゃったら僅かに残ってるチケまで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないで城之内!あんたが今ここで倒れたら、ここまで溶けていった時間やチケはどうなっちゃうの?

チケはまだ残ってる。ここを耐えれば、良いデッキができるんだから!

次回、「城之内死す」デュエルスタンバイ!”