プライベート・ライアン

基本的にここではネタバレ全開で書きます

公開されて2日しか経ってない作品でも10年経った作品でもネタバレありで書きます

 

1998年公開 監督 スティーブン・スピルバーグ

 

それ以降の戦争映画を変えたと言われているそうです

あらすじ

ミラー大尉にジェームズ・ライアン二等兵を探し出せとの命令が降ります

このライアン二等兵には兄が3人いました

しかしこの3人の兄は同じ時期に全員戦死してしまいます

そして残るジェームズ・ライアンはパラシュート部隊に配属され、敵地のど真ん中に降りた後行方がわからず生死も定かではありません

4人全員戦死という報を母親に届けるのはあまりにも非情であり、アメリカ軍の威信にかけて何としてもこの四男を母親の元に生きて返す必要がありました

この命令を最激戦地の一つであったオマハ・ビーチで生き残ったミラー大尉に任せるのです

 

冒頭のオマハ・ビーチの戦闘シーンがとにかく苛烈で凄惨

筆舌に尽くし難いとはまさにこの事

手足がもげる、顔に穴が開く、内蔵が飛び散る、血を流して泣き叫ぶ、浜が赤く染まる

目を覆いたくなる場面が20分にわたって繰り広げられます

 

 

(序盤はアメリカ兵が蜂の巣にされる勢いで猛攻を受けるのですが、しかしよく考えてみると浜を守るドイツ兵にとっても悲惨な戦いだなとも思えました

何せ相手は海を覆い尽くす程の物量で迫ってくるのです

ドイツ兵もよく守りますが突破されてしまいます

連合側も決死の覚悟ですが、ドイツ兵もやはり決死の覚悟であったのだと窺い知ることができます)

 

話の流れを書いているとそれだけで2万文字くらいいってしまいそうなので全部は書きません

 

なんやかんやあってミラー大尉の部隊は生きて他の部隊に合流していたライアンを発見します

当然連れて帰ろうとしますがライアンは一緒に戦っている仲間を置いてはいけないと頑として拒否します

その気持ちをミラー大尉も汲みその街に残って橋を守るために戦います

その中でミラー大尉は致命傷を負いもうダメか……という瞬間、P51の部隊がギリギリで到着しドイツ兵を薙ぎ払って戦いに勝利します

ミラー大尉を含め部隊はほぼ全滅してしまいますが無事ライアンを国に返す事ができました

 

 

この映画の最大のテーマは不条理だと思います

そもそも話の大筋からして不条理です割に合いません理不尽です

たった1人の二等兵を救うために大勢が危険に身を晒し敵地のど真ん中に行くなんて不条理以外の何者でもありません

ミラー大尉含め隊員は皆ライアンに会ったことはありません

特別な思い入れも何もないのです

もう何のために戦って命をかけているのかもよくわかりません

しかしこれは"そもそも戦争とは不条理なものだ"という事です

この映画を見ていると本当になんでこの人たちは殺しあっているんだ?と何度も疑問に思います

わかりません

わからないんです

不条理というものをよく描いていると思います

 

それとこの映画に出てくるアパムという通信兵

ただフランス語とドイツ語を喋れるというだけで銃もまともに撃ったことがないのに最前線に連れていかれます

第二の主人公です

見ていると本当にイライラしかしないのです

こいつのせいで何人死んだんだ!と怒りを覚えます

彼はどこまでも普通の、本当に普通で臆病で卑怯で勇敢という言葉とは正反対に位置するごく普通の凡人です

見終わって気付きます

彼を責められないのです

彼は戦争という不条理と闘ったのだと気付きます

 

 

もっともっとこの映画について書きたいことがあるのですが長すぎるのでまたいつか書きますたぶん

本当に苛烈な描写で何度も目を背けたくなる映画ですが見て後悔はしません

 

 

最後に劇中で語られる印象深い手紙の一節を書いて今回の所は終わりとします

 

「奥様、ご報告があります。あなたの5人のご子息が名誉の戦死を遂げられました。どのような言葉を持ってしてもあなたの悲しみを癒すことは不可能でしょう。しかし合衆国連邦に命を捧げたご子息に、我々は深い感謝を捧げます。

願わくは、神があなたの悲しみを和らげ、幸せな思い出だけをあなたに残すことを。

自由の祭壇に捧げた尊い犠牲。それを誇りとしてください。」

アブラハム・リンカーン(日本語字幕より)